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るーちゃん、映画「あの夏、タイムマシーンにのって」をご紹介する [映画]

『今回は少し長めの会話です。じっくりお付き合い頂ければ幸いです・・・。』

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『と、いうわけで「みちのく国際ミステリー映画祭」も無事終了しました。』


http://www.mystery-movie.com/





うん。なんとか参加できて良かったなぁ。買った前売り券も殆ど消化出来たし。





『参加にあたりわたくしごとの雨あられをかいくぐったもんね・・・。ここんとこが生活者の辛いところです。





ビッグネームの来盛もあったし、なかなかしっかりと運営された映画祭でした。そういえばさ、開会式がテーブルに皆がフォーマルな服装で座っているパーチー形式だったね。そこにつんつるてんなカジュアル姿の僕(管理人)とまっぱの君(るーちゃん・かえる5歳)が紛れ込んでしまったという。







それでも2人してしれっと飲んだ食べたしたでしょが。ところで、開会式の写真って撮ってOKだったのかなぁ?撮影禁止の指示、無かったよね。』






今それに気が付いたんだけど、写真がないとご説明しづらくてねえ。・・・大丈夫だとは思うんだがクレームが入ったらダッシュで謝ろう。なっ。





『がんば♪』






逃げんな共犯!・・・ところで、何本か映画を見たけど、るーちゃんはどの映画が一番心に残った?やっぱりあぶ刑事かい?





『港署の健闘も称えたいんだけど、一番印象に残ったのは前回ポスターでちらっとご紹介したこの映画でしたね。






((C)「あのタイ」映画製作実行委員会)
http://plaza.rakuten.co.jp/timemachine2005/





『岩手県は宮古市の皆さんが企画開始から2年かけて、自力で作ってしまった劇映画です。』






へえ・・・。宮古の皆さんが自力で?地方ロケへの協力、とかいうのでなしに?






そう。宮古青年会議所の有志の皆さんが中心になって企画を立ち上げて、映像や演技指導など県内の専門家の手を借りながら2時間弱の映画を地元の人の手で作ったんだよ。』






・・・おい、それはひょっとして凄い話じゃないのか?





そう思います。けど、大多数の皆さんにはどう凄い事なのかは上手く伝わりづらいと思うんだよ。自主制作映画って、そんなに広く見られているわけではないだろうからね。』






そうだよなあ・・・自主映画って、完成させるまでの道のりが果てしなく険しいって事はなかなかお読みの皆さんには判らないかもね。「ちょっと皆で映画でも」と思ってゴゥしたが最後、不思議と試練が天からふりそそぐものだし。それゆえに途中で挫折する作品だって山ほどあるし。






『あれは不思議だよね。神様、そんなに俺がお嫌いか?っていうほど問題が後から後から続く・・・というのは巷でよく聞くお話です。






それ知ってるだけに、自主映画で見て面白い作品を見つけると、すごく貴重だと思ってしまうよな。





『でも監督さんの感性で投げてくる変化球が多くて、なかなか真正面に向かって投げてくる直球のエンタテイメント映画は少ないような気がするよ。』

『特に、自主映画の作り手は学生さんをはじめとした若い人が多いせいか、どうしても頭でっかちに考えて何がしかを語ってしまう・・・という場合が多い。』




CASSHERN

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  • 発売日: 2004/10/23
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『もしくは旦那芸や内輪受けになる場合もあるね。


シベリア超特急 特別編集版〈豪華愛蔵仕様〉

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  • 出版社/メーカー: エスピーオー
  • 発売日: 2001/11/23
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・・・るーちゃん、それぜんぜん自主映画じゃないんだけど。





『比較対象は皆様にわかりやすくなくちゃあきまへん。』






・・・まあ、続けてみ。






『今回の宮古の映画は、ちゃんと真正面から直球を投げていたように思ったんだ。そして、それは少なからず成功しているんじゃないかな。

『正直に言って、3日間で見たプログラムのうちで一番まっとうな、映画らしい映画を見た気持ちがした。』






へえ・・・どのへんを見てそう感じたの?





作り手の真摯さ。そして出演の皆さん。 この2点。』





その「真摯さ」ってところから説明して欲しいな。





『うん。その前にこの映画のあらすじをご紹介したい。』

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<< あらすじ >>

主人公(黒石安雄)は4人家族。日々の会社生活に倦怠感を覚え始め自問自答する。

ある日、昔小学生の頃タイムカプセルを埋めたことを思い出し、
いつか仲間と掘り返す約束したことを思い出す。
当時を思い浮かべるだけで心が躍り、若返った気持ちで仲間を誘うが、
“このご時勢で…”という前置きで皆他人行儀。

そんな父の横顔を見る息子(雄太~小5)が、その話題に仲間を引き込み、
いつかそれを何とか探しに行きたい衝動に駆られる。
しかしその埋めた場所が定かでなく、雄太は学校を行き来し
父の若かりし頃を調べることで新たな手がかりを得て、自分の足でありかを探るが、
途中様々な出会いや困難に遭遇し、挫折しかける。
雄太の熱い思いを理解する仲間や遭遇する人の温かい声かけで、
断固とした決意でカプセル探しに邁進する。

そんなある日の夕暮れ、学校から帰ってくるはずの雄太と妹(佐緒里)が、
いつもの時間になっても帰ってこない。
母(菊枝)は心配になり仲間の子の家に電話したところ、その仲間の子も帰っていないという。
捜索願いを出そうか迷う一方で、安雄は記憶をたどりつつその手がかりを探る。
「まさかあいつら、タイムカプセルを探しに?…」

急いで仲間たちに連絡をしまくる… 
「・・・そうだ!あの場所だ!きっとあいつらそれを探しにそこへ・・・」
その結果、声をかけた仲間たちが集まり、皆で目指した「あの場所」とは・・・ 

(※HPより転載させて頂きました)

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『・・・と、いうお話です。登場人物たちを通して自分の住む町をもういちど見つめる、というお話でもあるんだ。』






それは・・・失礼な言い方になるけれど・・・「地元の人だけが理解できる(共有できる)もの」になってしまってはいないの?





『ううん。全国どこの町にお住まいの方でも共感できると思う。だって、ここで語られているのは、全国共通の問題であるはずの今のコミュニティのあり方への危機感だもの。』

ファスト風土化する日本―郊外化とその病理

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  • 作者: 三浦 展
  • 出版社/メーカー: 洋泉社
  • 発売日: 2004/09
  • メディア: 新書









ほう。そりゃ痛いほど良くわかるテーマだね。






『面白いことに、同じテーマとモチーフを持った作品が、今回の映画祭のオフシアター部門でも何作か紹介されています。2本ともいい映画でした・・・。』


http://aff-aomori.com/blog/log/eid29.html


http://kos_project.at.infoseek.co.jp/




へえ、一緒なの?




『「大人と子供」、そして彼らが暮らす「コミュニティのありかた」をテーマにしたお話だったよ。モチーフも「ちえみちゃん~」は家族と東北(青森の弘前)、「五尺三寸」は子供達と廃バス・・・というように共通点があった。3本ともアプローチは全く違うけどね。





どんな風に違うんだろうね。





宮古の映画は親の視点、下の2点は子供の視点だと思うんだよ。』





ほう。





『それは、オフシアターの2本は演出も技術も素晴らしかったよ。けれど、そこで語られていたのは傷ついた子供の目線からの話なんだ。だから、子供が結構辛い目に遭うんだよ。』





それは作者の誠実さを感じるよ、るーちゃん。悪いことではないよ。過去にはこういう名作だってある。

あこがれ・大人は判ってくれない〔フランソワ・トリュフォー監督傑作選1〕

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『うん。優れた映画なんだけど、「私は傷ついたの」という問題提起の時点で終わる事が出来るのは子供の目線の特権なんじゃないかな。』

『宮古チームは同じテーマでも「傷や世の中の歪みはわかった。じゃあ俺たちはどうすればいいんだ?」というような、問題提起から先に進もうとしている気持ちを感じたよ。・・・だからこの映画は、実際に親御さんである人が描いた作品だな、と思った。ストーリーの優しさも含めてね。』





なるほどな・・・。





『しかも、ちまちました作品を目指さず、自主でありながらもハッピーエンドかつ満腹感のあるエンタテイメント映画を作ろうとしたのだと思う。』

『伝えたいメッセージを踏まえたうえでちゃんとそういう王道の劇映画を目指して、そういう映画に仕上がったことは、これは評価しなくちゃいけないと思うんだよ。』






今、そういう立ち位置の映画って作るのが難しいよなあ。・・・何しろ宮崎駿がすんなり幸せなお話を描けない時代だもの。

ハウルの動く城

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  • 発売日: 2005/11/16
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『だからつってみんなでどんよりしてたら、良くなるものも良くなりゃしないやね。』






まあ、そりゃそうだ。





『多分これ、お話作りも時間が掛かっていると思うんだ。その上で、きちんと出演者をオーディションして演技も付けて、そして地元のロケーションを丁寧に選んで切り取って、コンテも考えて・・・これは、大変だった筈ですよ。






あらすじを読む限り、とてもまっすぐなお話だね。・・・でも、失礼に当たるかもしれないと思いつつ書くけれど、まっすぐなゆえの「硬さ」のようなものもあったんじゃないのかい?






『でも、そういう部分は自主で作られた映画には必ずあるものだもの。プロではないから、いろいろな所が“でこぼこ”はしている。でも、それを超えて力のある映画だと思ったんだ。それに、作り手の皆さんが伝えようとした事はちゃんと伝わるよ。

『自分達が伝えるべきメッセージを伝えた上で、きちんとドラマの葛藤を作って、それが演出と音楽の力で盛り上がって、きれいにラストカットで解決する。これ、実はなかなか難しいことなんだと思う。・・・映画らしさと感じたのは、ここが一番大きいんだよ。』





なるほどねぇ・・・二つ目は「役者さん」かい?




『うん。聞くところによれば、出演した殆どの人が市民オーディションでの参加だそうだよ。演技の初体験の人が多かったんじゃないかな。』

『だから、やっぱりプロの役者さんのようにはいかない。・・・けれど、この映画では出演者の人がプロの役者さんの芝居を越えてしまった場面があるんだ。』






本当かい?





『うん。信じられないけど、「役のまま素で」喋るような、演技と思えない瞬間が何度かある。リハーサルとリラックスの賜物だと思うんだけど。・・・それに、どんなに硬いお芝居でも、その人物の感情はきちんと伝わって来るよ。役の人生が伝わる、というかね。』

『出演したすべての人がとても丁寧に役を演じていると思ったな・・・。』




それはあれだなあ・・・なまじなプロの技術を持った人には、なかなか出来ない事なんじゃないだろうか。





『黒澤明が、偉い軍人さんたちを撮ろうとした時に「普通の地位ある社会人をつれて来まっしょい」と言ったって気持ちが判るよねぇ。』

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『まあそんなこんなで、見終わっての満足度はとても高かった映画でした。』





そうかあ・・・見に行って良かったねぇ、るーちゃん。




『うん。見終わってレビューしなきゃ!と思ったのは久しぶりだもん。別に誰にも何もお願いされていないんだけどさ。』





そだね。こういう映画が、もっと沢山の人に見てもらえるといいのにな。





『うん。だけど、こういう何も極端な事は起こらないけれど、ちょっといい映画って、昔の邦画は結構あったように思うけどな。』






なんで少なくなっちゃったんだろうかね。






『わかんない。でも、「みんなが見たい映画」って、時々「大きな会社の人が売りたい映画」とは一致しない時があるんじゃないか・・・って感じる時がある。』


『だったら、じゃあ自力で見たい映画を作っちゃえってのも大いにアリだと思うよ。もちろん、それを「町おこし」に使うという事もね。』






ただしその時は、宮古の皆さんのようにじっくりと「映画」に向き合うって事は必要だろうね。なにしろまともに取り組めば1年2年は簡単に掛かってしまう事だと思うし。




『そういう意味でも、この宮古の皆さんの映画は全国の方にも面白いテストケースなんじゃないかと思う訳です。来たれキネ旬取材班!ってとこかな。』






僕に言われても困ります。・・・ところで、今週末から宮古のほうで上映会が始まるらしいね。





『うん。詳しくは下記サイトを御参照下さい。岩手県は宮古近辺にお住まいの方で、もしここをお読みの方がいらしたら、ぜひ大きな画面でご覧になって頂ければと思うな。

http://plaza.rakuten.co.jp/timemachine2005/





うむ。そんなこんなで本日の押しかけレビューはこのへんでお開きにしようじゃないか。・・・最後になんかあるかい、るーちゃん?






『そうねえ・・・。』

























『じゃあみちのくひとり旅の歌い残しの部分をね・・・。』




向こうでやってらっしゃい。


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コメント 11

エッコ・ミ

「あの夏、タイムマシーンにのって」。あらすじを読んだだけでも、「わっ、よさそう」と思ってしまいました。そして、るーちゃんの映画に寄せる熱い思いと愛情が伝わってきて、ぜひ見たい!と思いましたです。東京での上映はどうなるのでしょうか。
by エッコ・ミ (2005-10-20 11:14) 

まさひろ

はじめまして!
宮古映画の脚色&監督のまさひろですm(_ _)m

企画段階から参加している私としましては、制作側の想いをこんなにも素直に受け止め、
こんなにもすばらしい評価をして頂けて感激です(T_T)やはり苦労は買ってでもするモンですね!

ただ今、今週末の上映に向けて音声の最終調整中らしいです。
ご都合がつきましたら是非宮古上映もご覧下さい(^^)v

・・・このブログ書くのも結構時間かかってるでしょう?(^^;)
by まさひろ (2005-10-20 13:24) 

まさひろ

あ、俺劇団代表もしてるんで、そちらにも遊びに来てください!
http://www.d3.dion.ne.jp/~maacyann/
maacyann@d3.dion.ne.jp
by まさひろ (2005-10-20 13:48) 

nats

皆様、いらっしゃいませです。

>エツコ・ミさま
素朴だけれど真っ直ぐで、肩入れしたくなるようないい作品でしたよ。
何より「ちゃんと映画として盛り上げよう」という心意気がありました。
ぜひ東京でも上映される機会があるといいですね。
もしそういう機会があれば、すぐブログ上でもお知らせします~♪


>まさひろさま
ああっ、監督さんじゃないですか!僕らのブログにようこそです!!
今週末の上映はお伺い出来ませんが、いずれ最終上映版も拝見しようと思っています。
長期間の映画製作、本当にお疲れ様でした。
劇団のページのほうにも遊びに行きますね~。
by nats (2005-10-21 14:00) 

ちぇぶらさん

 こんばんは。(^_^) ちなみに、あぶ刑事ですが、タカさんが走っているシーンで、一度足がもつれて転び、NGになったとのこと。これからますます年齢が上がって行きますので、あしもとがあぶないデカにならないよう、頑張って頂きたいものです。(^_^;)
by ちぇぶらさん (2005-10-21 18:10) 

nats

>ちぇぶらさん さま
こんばんわです。
そうなったら、『いよいよあぶない刑事』でしょうか(笑)。
by nats (2005-10-21 21:12) 

かこ

るーちゃんがまじめ?に 映画について(考えながら)話しているの姿が かわいい(笑)し、その話から映画も 素朴ながら映画らしい良さが感じられ 見たくなりましたぁ。
by かこ (2005-10-21 21:48) 

nats

>かこさま
ありがとうございます。横でウチの同居人も頷いていますよ~(笑)。
by nats (2005-10-21 22:41) 

2egg

とっても素敵な映画を紹介していただいて嬉しいです。
今はまだ見る機会がなさそうですが、
いつか関東方面でもぜひ上映されないかなぁと
思いますね。

もしこの映画が実体験の完成過程などのエピソードと共に広く知られる機会があれば、
ふと「できない理由」を環境や時代などのせいにしてしまって
うつむいてしまっていた人が、
「それだけじゃないかも」と
ふと顔を上げることができるかもとそんな気が
このレビューを読んでとってもしました。

るーちゃんnatsさん、
素敵なレビューを読ませてくれて本当にありがとう(^^)
by 2egg (2005-10-26 13:02) 

nats

>にたまごさま
いらっしゃいませです。
そうです!僕らがこの映画をご紹介しよう!と強く思ったのも、正にそんな理由からなのです・・・。

ところで、宮古のスタッフの方のほうにテレビ朝日の番組から取材申し込みがあったそうです。
(※記事のリンク先をご参照ください)
全国区の番組での放送のようですので、放送が決まりましたら、またこのブログでもお知らせしますね。
by nats (2005-10-26 13:37) 

Air Jordans

のリンク先をご参照ください)
全国区の番組での放送のようですので、放送が決まりましたら、またこのブログでもお
by Air Jordans (2011-01-07 00:33) 

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